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桑の青汁の飲み過ぎは肝臓に悪いの?
飲み過ぎが肝障害の原因にも
桑の青汁に含まれる、脂溶性ビタミン(ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK)や鉄などの成分は、肝臓に蓄積されます。 野菜の代わりに桑の青汁だけで栄養を摂ろうとして、適量を超えて飲み過ぎてしまうと、ビタミンやミネラルの過剰摂取につながり、肝臓へダメージを与えてしまう可能性があります。桑の青汁だけじゃない、他の青汁やサプリメントも!
桑の青汁ではありませんが、過去には、市販の青汁やサプリメントの摂取が原因で薬物性肝障害(薬剤性肝障害)を引き起こした事例も報告されています。 また、人工化合物を使用している青汁などをたくさん摂取してしまうと、肝臓に負担がかかり悪影響を及ぼす場合もあるため気を付けましょう。適量なら優秀な栄養補助食品!
もちろん、青汁やサプリメント自体が肝臓に悪いというわけではありません。 青汁は、不足しがちな栄養素を手軽に補うことができるため、毎日の習慣に取り入れやすいという点で、優秀な栄養補助食品といえるでしょう。 ただし、青汁に限らず、どんな食品でもそれだけを沢山摂り過ぎることはおすすめできません。 適量を守り、飲み過ぎによる栄養成分の過剰摂取に気を付けることが重要です。摂り過ぎになる目安はどのくらい?
上限までは普通なら飲めない!?
ビタミンAの場合
下記の例を元に試算すると、「1日35包以上」飲まなければ耐容上限量を超過することはありません。
- ビタミンA:18歳以上の女性の場合、耐容上限量2,700(㎍RAE/日)
- 桑の葉(荒茶加工)25.4㎍RAE/g=106g以上で耐容上限量超過
鉄分の場合
下記の例を元に試算すると、「1日245包以上」飲まなければ耐容上限量を超過することはありません。
- 鉄:18歳以上の女性の場合、耐容上限量40(mg/日)
- 桑の青汁創輝王:0.0543mg/g=737g以上で耐容上限量超過
桑の青汁を飲んではいけない方とその理由
肝機能障害のある方と鉄分
まず、肝機能に障害をお持ちの方は、桑の青汁を飲む前に「鉄分」の含有量を確認しましょう。 一般的に、鉄分は日本人にとって不足しがちな栄養素であるため、あまり心配することはないかと思います。 しかし、肝障害を患っていると、通常よりも肝臓に鉄を多くとりこんでしまうと言われています。 そのため、過剰に摂取した鉄が肝臓の細胞にダメージを与えることにつながります。 とくに、C型肝炎の方は一日に摂取してよい鉄分の量が決まっている為、注意が必要です。重度の腎機能障害のある方とカリウム
また、重度の腎機能障害をお持ちの方は、桑の青汁を飲む前に「カリウム」の含有量を確認しましょう。 腎機能が低下していると、カリウムを体外にうまく排出できず「高カリウム血症」を引き起こす可能性が高まります。 桑について研究している創価大学の久米川准教授も久米川准教授
腎臓の方で気になるのがカリウムの摂取量で、こちらは日本人にとっては過剰になりやすい成分となります。
これは、日本人の肉の摂取量が欧米に比べて少なく、果物などの摂取量が多いことに起因しています。
桑にもかなり多く含まれていますので、カリウムの方が心配した方が良いかと思います。
ワーファリン(ワルファリン)を服用中の方とビタミンK
そして、ワーファリン(ワルファリン)を服用中の方は、桑の青汁に「ビタミンK」が多く含まれているため飲用には注意が必要です。 ワルファリン(ワルファリン)とは、血液をサラサラにし、血栓ができるのを防ぐ効果があるお薬です。 ビタミンKには、血液を固める作用があるため、桑の青汁を飲むことで摂取したビタミンKがワルファリン(ワルファリン)の効用を薄めてしまう可能性があるとされています。桑の青汁を飲む時の注意点とは?
摂取量の目安を確認する
これまで挙げてきた以外にも、ご自身の体質や服用している薬の種類、サプリメントなどによっては、桑の青汁を飲むことで栄養成分の過剰摂取となり悪影響を及ぼす場合があります。 安心して桑の青汁を飲むために、気を付けなければいけない栄養成分の摂取量について、あらかじめその目安を確認しておくと良いでしょう。不安がある方は飲む前に医師に相談しましょう
また、ご自身の体調に不安がある方や、現在治療中で薬を服用されている方などは、基本的に桑の青汁を飲む前にかかりつけの医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
できる限り不安を取り除いた上で、毎日の健康をサポートするために桑の青汁の飲用を検討しましょう。
桑の葉茶なら飲み過ぎも気にならない!
桑の青汁は、桑の葉をまるごと粉砕して粉末状にしたものを水やお湯などに混ぜて飲むため、一度に摂れる栄養素が豊富です。 それに比べて桑の葉茶は、茶葉から抽出される成分を摂取することになる為、基本的には1日の摂取量に上限は無いと考えてよいでしょう。 カフェインを含まない為、食事時だけでなく日常の中で水分補給をするための飲み物として手軽飲めるお茶です。まとめ
青汁に限らず、身体に良いとされている食品であっても、それだけを取り過ぎてしまうと体にダメージを与えることがあります。 桑の青汁には、健康に有用とされるさまざまな栄養成分が含まれていますが、その効果を活かすためにも、適量を知り正しく飲むことが大切です。 そうすることで日々の食事では不足しがちな栄養素を補うことができ、桑の青汁は私たちの健康を保つための強い味方となってくれるでしょう。監修:久米川 宣一(クメカワ ノリカズ)准教授
- 創価大学 理工学部共生創造理工学科 准教授。
- 大阪府出身。
- 1995年創価大学工学部生物工学科卒業、2000年東京大学農学生命科学研究科応用生命工学専攻修了。博士(農学)。
- (財)かずさDNA研究所特別研究員、創価大学工学部環境共生工学科講師を経て、2020年より現職。
- 育種学を専門とし、桑植物を対象とした育種や農業用ヘテロコア型光ファイバセンサに関する研究を行っている。